例年、第二四半期に Google Merchant Center の商品データ仕様の変更が行われますが、今年は2024年4月9日(米国時間)に発表がされました。
本記事では2024年に実施される Google Merchant Center の商品データ仕様の変更点について、筆者のコメントを交えてまとめてみます。
2024年4月9日時点で変更済みのもの
AI 生成コンテンツ用の新しい商品データ仕様属性をショッピング広告と無料リスティングに導入
生成 AI を使用して作成されたテキスト コンテンツを開示することを販売者に要求する新しい属性を追加します。AI 生成のタイトルと商品説明を商品データで使用する場合は、構造化されたタイトル
[structured_title]
属性と構造化された商品説明[structured_description]
属性を使用してください。これは、生成 AI を使用して作成された商品画像(商品画像リンク
[image_link]
属性、追加の商品画像リンク[Additional_image_link]
属性、商品使用イメージ画像リンク[lifestyle_image_link]
属性)に IPTCDigitalSourceType
TrainedAlgorithmicMedia
メタデータ タグを付ける方法に関する 2024 年 2 月のアップデートに基づいています。詳しくは、AI 生成コンテンツを登録するための要件をご覧ください。
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
Google Merchant Center の商品データ仕様のうち、商品画像リンク [image_link]
、追加の商品画像リンク [additional_image_link]
、商品使用イメージ画像リンク [lifestyle_image_link]
で指定する商品画像に関しては、2024年2月から生成 AI で生成された画像の利用が認められるようになりました。
今回、商品タイトルと商品説明に関しても、構造化されたタイトル [structured_title]
属性と構造化された商品説明 [structured_description]
属性を指定することで利用できるようになりました。
ちょっと分かりにくい属性なので補足します。そもそものお話ですが、生成 AI を使って商品タイトルや商品説明の文章を登録していない場合は気にする必要はありません。生成 AI を使って商品タイトルや商品説明の文章を生成し、それを各属性に適用している場合にはこの仕様に従う必要があります。
詳しくはこうです。
- 商品タイトルや商品説明の設定に生成 AI を使っていない → これまで通り、タイトル
[title]
属性と商品説明[description]
属性を使います - 商品タイトルや商品説明の設定に生成 AI を使っている → 構造化されたタイトル
[structured_title]
属性と構造化された商品説明[structured_description]
属性を使います
例えば、タイトル [title]
属性と構造化されたタイトル [structured_title]
属性の両方を指定すると、タイトル [title]
属性が利用されるとのことなので、生成 AI を利用して商品タイトルや商品説明を指定する場合は、構造化されたタイトル [structured_title]
属性と構造化された商品説明 [structured_description]
属性のみを指定するようにし、両方の属性に値を設定することが無いようにしましょう。
入力フォーマット例
これらの属性は2つのサブ属性を使って表されるので注意が必要です。
構造化されたタイトル [structured_title]
- サブ属性1 : デジタルソースタイプ
[digital_source_type]
(省略可)- デジタルソースタイプは下記の2値どちらかを選択します
- default : サブ属性2 で指定する商品タイトルに生成 AI を利用していない場合に指定します
- trained_algorithmic_media : サブ属性 2 で指定する商品タイトルに生成 AI を利用している場合に指定します
- デジタルソースタイプは下記の2値どちらかを選択します
- サブ属性2 : コンテンツ
[content]
(必須)- 商品タイトルのテキストを指定します(生成 AI を使った生成したタイトルかどうかはサブ属性1で判別しています)
属性値は サブ属性1:サブ属性2 の形で入力し、各サブ属性の間には : (コロン)を入力します。
設定例 : trained_algorithmic_media:"Stride & Conquer: オリジナル Google 男性用 青/オレンジ パワーシューズ(サイズ 8)"
構造化された商品説明 [structured_description]
- サブ属性1 : デジタルソースタイプ
[digital_source_type]
(省略可) - サブ属性2 : コンテンツ
[content]
(必須)- 商品タイトルのテキストを指定します(生成 AI を使った生成したタイトルかどうかはサブ属性1で判別しています)
- デジタルソースタイプは下記の2値どちらかを選択します
- default : サブ属性2 で指定する商品タイトルに生成 AI を利用していない場合に指定します
- trained_algorithmic_media : サブ属性 2 で指定する商品タイトルに生成 AI を利用している場合に指定します
属性値は サブ属性1:サブ属性2 の形で入力し、各サブ属性の間には : (コロン)を入力します。
設定例 :
trained_algorithmic_media:"Google Chromecast でテレビをエンターテイメントの中心にしましょう。このコンパクトなメディア ストリーミング デバイスをテレビの HDMI ポートに接続するだけで、さまざまなコンテンツをすぐに楽しむことができます。iPhone、iPad、Android、Mac、Windows、Chromebook といったスマートフォン、タブレット、ノートパソコンから、あらゆるものを管理できます。大画面に、お気に入りの番組、映画、音楽、スポーツ、ゲームなどを簡単にキャストできます。"
補足
生成 AI を活用して生成した商品タイトルや商品説明などに、ある種生成 AI を使っているというラベル付けを行ってくださいという仕様が追加された事になりますが、現時点ではこの仕様に従わなくともポリシーに違反になるということは今のところありません。
この属性を正しく使うことで商品データの質に対する評価に影響が及ぶかどうかも分からない上に、特にテキストデータだけからは生成 AI を使って生成された商品タイトルや商品説明であるかの判別も難しいと考えられます。
なので、この属性を使うことのメリットは分からないですが、Google としては生成 AI を使っているというラベル付けができる仕組みを導入することで、各方面からの指摘があっても、そこは販売者が対応できるようにしているので Google に責任は無いと言える状況を作ったのかなという風にも受け取れます。
新しいポイント プログラム [loyalty_program] 属性(米国と日本で利用可能)
ポイント プログラム
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ[loyalty_program]
属性を使用すると、メンバー価格とポイントを設定できます。この属性を追加すると、Google サービス全体でポイント プログラム(Merchant Center で設定)の特典を正確に示すことができます。
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
Google Merchant Center、日本における無料リスティングで利用できるロイヤリティプログラム(ポイントプログラム)機能がアップデートされました。
この機能を利用すると、商品の購入で何ポイントもらえるという表示ができるようになるのですが、これにアップデートがあったようです。
- ポイントプログラムのロゴ、獲得できるポイント数が無料リスティングで表示
ポイントプログラムの特典は、Google 検索、ウォレット、マップなど様々な Google サービスで表示されます。ウォレットでの表示イメージが思いつきませんが、将来的に無料リスティングとしてポイント表示が行われる可能性があります。 - サードパーティのポイントプログラムや支払いプロバイダーを選択し、そのロゴや詳細を表示することもできる
現時点でポイントプログラムはdポイント、支払いは楽天ペイ・au PAY・d払い・PayPayが選択できます。提携するポイントプログラムは現時点でdポイントだけですが、今後は楽天ポイントやPayPayポイント、Pontaとか増えていく可能性はあります。支払いプロバイダーとしては、国内の大手はあらかた対応しているイメージです。
既に日本の Google Merchant Center アカウントにも反映されているので、ポイントプログラムを導入しているショップは設定だけしてみても良いのではないでしょうか。
新しい最低価格 [auto_pricing_min_price] 属性
最低価格
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ[auto_pricing_min_price]
属性を使用すると、値下げ可能な商品の最低広告価格(MAP)を設定できます。Google は、販売価格の提案、自動割引、動的プロモーションなどの機能にこの情報を使用します。
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
あまり知られていないのですが、Shopify など一部のカートのシステムを利用している場合、Google Merchant Center とカートシステムが連動し、シグナルに応じて最適な割引価格に自動設定する自動割引機能や、動的プロモーション機能という物が存在します。
これらの機能を使う場合に割引額の上限(販売価格の下限)を設定しておくことで、その範囲内で自動的に割引して競争力を高めるという物です。カートシステムが対応していること、売上原価(COGS)[cost_of_goods_sold]
属性の設定も必要になっているため、利用はしにくい機能になっています。
分割払い [installment] ベースの商品に関するガイダンスの更新
分割払い
[installment]
属性の使用に関するガイダンスを更新します。分割払い [installment] 属性を使用する商品は、全額前払い(価格[price]
属性を使用)または分割払いのいずれかで購入できる商品として扱われます。今回の変更により、分割払い[installment]
属性が新しい頭金[downpayment]
サブ属性で拡張され、商品価格の一部を前払いする必要があるかどうかを指定できるようになります。これまでは、このような頭金は価格[price]
属性を使用して指定する必要がありました。車両広告に関しては、分割払い
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ[installment]
属性にクレジット タイプ[credit_type]
サブ属性も追加されており、分割払いのクレジット タイプがリース[lease]
またはローン[finance]
のどちらであるかを指定できます。
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
分割払い属性自体は、通信サービス契約が付随される前提で購入するモバイルデバイス(スマートフォンまたはタブレット)に対する支払いプランを指定するために併用される属性なので、日本でこの属性を使うことができる販売者はあまりいないです。
海外では車両広告を行う際に、分割払いがリース契約なのか割賦購入なのか、頭金は必要か?が指定できるようになったので、この更新は車両広告向けの物なのかなと思います。
新しい送料無料の基準額 [free_shipping_threshold] 属性(すべての国で利用可能)
送料無料の基準額
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ[free_shipping_threshold]
属性を使用すると、送料が無料になる最低注文額を指定できます。
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
配送先の国によって送料無料の基準が異なるケースで、Google Merchant Center の送料設定をオーバーライド(この属性による設定値を優先する)場合に使います。日本国内だけに配送が対応している場合は使うことが無い属性ですし、越境ECの場合でも Google Merchant Center で設定できるレベルのものであれば、利用するケースはあまりないような気がします。
政府により課される料金を送料 [shipping] 属性に含めることに関するガイダンスを更新
送料属性の使用に関するガイダンスを更新します。送料には、輸入税、リサイクル料金、著作権料、州固有の小売配送料など、政府により課される料金を含めないでください。
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
日本には影響がありません。米国の場合に影響があるガイダンスで、恐らくコロラド州の州法に準拠するために更新された物と考えられます。
コロラド州の場合は、商品フィードに小売配送料を含めてはいけません。したがって、送料
送料 [shipping] – Google Merchant Center ヘルプ[shipping]
、価格[price]
、税金[tax]
、およびその他の属性に小売配送料を含めないでください。コロラド州の小売配送料について詳しくは、こちらのページをご確認ください。
https://support.google.com/merchants/answer/6324484
2024 年 7 月 31 日以降の変更
送料が必須となる国のリストの拡張
送料が必須となる国のリストを拡張し、適用対象となる国を追加します。次の国では、送料が指定されていない商品は不承認となります。
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ
- インド
- ニュージーランド
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
日本では以前より送料設定が必要となっています。今回はインドとニュージーランドが送料設定必須の国として追加されます。
2024 年 9 月 1 日以降の変更
ローカル在庫広告で受け取り方法 [pickup_method] の指定が省略可能に
ローカル在庫広告で本日店舗受取可または後日店舗受取可機能を使用する場合に、受け取り方法
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ[pickup_method]
の指定が省略可能となり、販売者による在庫管理が簡素化されます。店舗受取可機能を有効にするために受け取り方法[pickup_method]
を指定する必要はなくなります。詳しくは、ローカル在庫広告の在庫フィード仕様をご覧ください。
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
これまでは、購入 [buy]
、予約 [reserve]
、店舗受け取り [ship to store]
、対象外 [not supported]
のいずれかを選択する必要がありましたが、2024年9月1日以降は未設定ままでも登録をすることができるようになります。既に設定されている場合は、特段の理由が無い限りはユーザーへの表示をする事による UX 向上の観点からそのまま指定しておくことをおすすめします。
energy_efficiency_class 属性の削除
2023 年、Google は新しい認証
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ[certification]
属性をリリースしました。この属性は、商品に関連する認証(省エネ評価など)を表すために使用され、拡張された EU のエネルギー ラベルの対象となる商品については、EU の省エネラベルに関する最新規制の遵守を可能にします。この属性は既存の省エネ性能[energy_efficiency_class]
属性と重複するため、認証属性を優先し、省エネ性能属性は廃止されます。
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
主に EU 域内へ商品を販売している販売者が対象です。日本国内のみで販売を行っている販売者には影響がありません。
EU の省エネラベル表記に対応するために、2023年に認証 [certification]
属性が追加されました。今後はこの属性でカバーできるようになった事から、それまでに使われていた省エネ性能 [energy_efficiency_class]
属性は廃止されることになりました。
分割払い [installment] 属性と頭金を組み合わせて使用する場合の価格 [price] 属性の使用を廃止
以前は、LATAM 諸国以外の国では、分割払い
2024 年 Merchant Center 商品データ仕様の更新のお知らせ – Google Merchant Center ヘルプ[installment]
属性を使用する場合、価格[price]
属性が分割払いの頭金の価格と解釈されていました。4 月 9 日に分割払い[installment]
属性に新しい頭金[downpayment]
サブ属性が追加されることに伴い、9 月 1 日以降は価格[price]
属性で頭金を指定できなくなります。
https://support.google.com/merchants/answer/14784710?hl=ja
2024年4月9日に実施された分割払い [installment] ベースの商品に関するガイダンスの更新に関連する更新です。分割払い [installment] 属性で頭金の指定ができるようになったので、このガイダンスについては削除されることになるようです。
まとめ
2024年に行われる Google Merchant Center 商品データ仕様の更新の中で、特に日本に影響があるのは新しいポイントプログラムでしょう。既にこれらのポイントプログラムや支払い方法を利用している場合は設定しない理由が見つかりません。無料リスティングのみなのでインパクトは小さいかもしれませんが、共通ポイントや決済方法の提示は、ユーザーから見ても引きがある訴求になるので、Google Merchant Center から設定してみましょう。
また、生成 AI 絡みの仕様対応が目立つようになってきましたが、前述の通り、現時点では必須とされている物のポリシーとしては規定が無いため、対応しなくてもポリシー違反で掲載ができなくなるということはありません。ただし、将来的に生成 AI に関する法律が制定されて明示が必要となった場合は対応が必要となるので、Google はそれを見越して先手を打ってきたのかと思います。
将来を見据えて対応するも良しですが、1年後2年後にどうなっているかも分からないので、現時点で影響がありそうな点やポイントプログラムなどメリットを受けられそうな点を中心に対応していくのが良いでしょう。