「パーカー」で探しても見つからないので、Google 商品カテゴリ検索ツールを自作しました

Google Merchant Center(GMC)の商品カテゴリ google_product_category 属性を、日本語の俗称・略称・英語から検索できるツールを公開しました。無料で、登録も不要です。

「パーカーのカテゴリって、リストのどこにあるんだったけ……」

これは GMC の商品カテゴリの設定を行った経験のある担当者ならば、何度も当たってきた課題です。

公式リストでパーカーが属するカテゴリの名前は「トップス」なので、パーカーという言葉のままではどこにも見当たりません。この、探す側の言葉と載っている側の言葉のずれが、カテゴリ探しを毎回しんどくしている正体です。

パーカー の検索結果

なぜ公式リストを Ctrl+F しても見つからないのか

google_product_category を探すとき、実務では大きく4つの壁に当たります。

まず、公式リストは6,000行弱のテキストファイルです。構造化された検索手段はなく、エディタで開いて Ctrl+F(Mac なら Command(⌘)+F)するしかありません。

次に、公式の日本語訳は「商品名」ではなく「分類名」です。冒頭のパーカーの例がまさにそうで、担当者やユーザーが使う言葉と、分類のための言葉がずれています。

さらに、英語で覚えている語ではヒットしませんsneakerhoodietote のように業務上は英語のまま頭に入っている語も多いのですが、日本語リストにその文字列はありません。

最後に、同じ言葉が複数カテゴリにまたがります。「トート」で探すと、ハンドバッグなのか、ランチバッグなのか、ガーデニングバッグなのか、ワイン用バッグなのか、リストを眺めるだけでは判断がつきません。

このツールは、この4つをまとめて解くために作りました。役割をひとことで言えば、「担当者が実際に使う言葉」から、公式カテゴリにたどり着けるようにすることです。

まず試してみてください

説明より先に、実際に叩いてもらうのが早いと思います。

  • パーカーID:212 トップス が俗称一致で出ます。公式訳のままでは見つからない語の代表例です
  • hoodie / フーディー → どちらも ID:212 トップス に到達します。英語俗称と和製英語の両対応です
  • グラボID:297 ビデオカード & グラフィックボード。略語でもヒットします
  • refrigeratorID:686 冷蔵庫。英語の単数形でも、複数形の公式名 Refrigerators に一致します
  • スマホケースID:2353 携帯電話・スマートフォン用ケース が、親カテゴリの ID:264 より上に出ます(理由は後述します)
  • ウォシュレットID:2376 温水洗浄便座・ビデ。商品名として定着した呼び方からも到達できます
  • 212 → ID を数字のまま入れると、そのカテゴリを直接開きます。フィード修正中の逆引きに便利です

フルパス(ホーム・ガーデン > キッチン・ダイニング > …)をそのまま貼り付けても検索できますし、結果カードから親子のカテゴリをたどることもできます。ID はワンクリックでコピーできます。

結果からカードの拡大したところ

AI が生成した別名は裏方に置き、画面に出すのは常に公式訳と ID

このツールで一番こだわったところを書きます。

「パーカー」で「トップス」がヒットするのは、5,595カテゴリすべてに対してAI で別名(エイリアス)を生成し、辞書データとして検索インデックスに組み込んでいるからです。ただし、AI で生成した別名は検索のためだけに使い、画面には一切表示しません。表示されるのは常に、公式の日本語訳・ID・英語カテゴリ名です。

理由は単純で、別名は公式のものではないからです。別名を画面に出してしまうと、「Yuwai が独自にカテゴリ名を言い換えた」ように読めてしまい、担当者が誤った値をフィードに入れる余地が生まれます。フィードに入れるべき値は公式の ID とパスだけ。だから AI で生成した辞書データは「見つける」ためだけに使います。

そのかわり、なぜその結果が出たのかの根拠は、スタンプで明示するようにしました。

  • 色 = 公式名で一致
  • 色 = 俗称・別名で一致
  • 色 = 関連候補(複数の意味になり得る語からの提示)
実際に表示される3種のスタンプ

「AI を検索に使う」ことと「AI の出力をそのまま見せる」ことは別物です。 この線引きが、業務ツールとしての信頼性を決めると考えています。

4つのリストを2文字ずつ突き合わせる

仕組みを噛み砕くと、4つのリストを同じ表記ルールに揃えたうえで、2文字ずつのまとまり(2-gram)で突き合わせています。

リスト件数役割
公式日本語パス5,595件正解の表示元
公式英語パス5,595件refrigerator sneaker 等の英語入力を拾う
強エイリアス14,446語担当者やユーザーが使う俗称・略称・和製英語
弱エイリアス362語他カテゴリの公式名と衝突する多義語。関連候補として控えめに提示

表記を揃える処理では、NFKC 正規化・小文字化・カタカナからひらがなへの変換・長音記号の除去・区切り記号の統一をまとめて行い、表記ゆれを吸収しています。おかげで「USB アダプタ」と「USB アダプター」、「ノコギリ」と「のこぎり」は同じ語として扱われます。

当たり方には強い・弱いの順位を付けています。強い順に、公式のカテゴリ名と完全一致 → 別名と完全一致 → 英語のカテゴリ名と一致(単数形・複数形のゆれは許容)→ カテゴリ名の部分一致 → 弱エイリアスの一致 → 断片一致。この順位は、次に書く見せ方の切り替えにもそのまま使っています。

曖昧な語や表記ゆれをどう扱うか

検索結果の見せ方は、どれくらい確かに当たっているかで3通りに分かれます。

通常

しっかり当たっているとき。余計なものを隠して、これだという候補だけを出します。

もしかして

しっかりとは当たらず、断片的にしか引っかからないとき。切り捨てずに上位5件を「もしかして」として並べ、全部に関連候補のスタンプを付けます。

たとえば促音の入った「ウォッシュレット」で検索した場合がこれにあたります。別名として登録しているのは促音なしの「ウォシュレット」なので、表記が1文字ずれるだけで完全一致は外れます。それでも正解の ID:2376 温水洗浄便座・ビデ が1位に来ます。ただし断片が当たっているだけなので、これだという顔はせず、あくまで候補として見せます。

ウォッシュレット(促音あり)の「もしかして」表示

0件

何も当たらないとき。カテゴリを上からたどれるリンクと、「ID が分かっているなら数字をそのまま入力すると直接開けます」という案内を出します。


1語だけでは意味が決まらない言葉は、決めないまま正直に見せます。tote で検索すると1位はランチボックス・ランチバッグですが、ガーデニングバッグやワイン用バッグが朱色の関連候補として並びます。

tote の検索結果
tote bag の検索結果

tote bag と語を足せば ID:3032 ハンドバッグに確定します。決められないものを無理に決めず、判断材料を渡して担当者に委ねる。日本語公式名・ID・英語カテゴリ名を常に併記しているのも、多義語を判断するための材料です。

同点なら、具体的なカテゴリを上に出す

細かい話ですが、実務に効くので書いておきます。同じ別名が親カテゴリと子カテゴリの両方に付いてしまう組み合わせが、397組ありました。スマホケース、刺繍糸、バスタオル、ケーキ型、HDMIケーブル、ドライバービットなどです。

スマホケース の結果

何も考えずに作ると、親(曖昧なほう)が上に来てしまうことがあります。そこで「同点なら深い=具体的なカテゴリを上に置く」というルールを1つだけ入れました。結果、397組すべてで具体的なほうが上位になりました。1件ずつ例外を書き並べるのではなく、ルール1つで片付いたところが気に入っています。

そしてこの並び順は、google_product_categoryできるだけ具体的なカテゴリを指定するのが望ましいというルールとも一致するので、上から順に検討していけば、そのまま実務の正解に近づくようになっています。

入力はブラウザの中だけで処理されます

このツールは完全クライアントサイドで動きます。検索語を含む入力内容はブラウザ内でのみ処理され、サーバーへは送信されません。

検索語は URL のフラグメント(#q=...)に入る形にしています。

ブラウザのアドレスバー。#q=パーカー が入った状態

フラグメントはブラウザからサーバーへ送信されない仕様なので、アクセスログにも検索語は残りません。これは偶然ではなく、そう設計しています。何を検索したかはフィードの中身、つまり事業情報そのものだからです。

現時点でできないこと

このツールができないことは次のとおりです。

  • 収録データは Google Product Taxonomy 2021-09-21版です。最新版が公開されれば追随が必要になります
  • 日本語のみの対応です
  • 漢字のかな読みは未対応です。「せんぷうき」と入力しても扇風機には到達できません(「もしかして」モードにはなりますが、正解は出ません)。将来課題です
  • 別名は AI 生成であり、網羅性を保証するものではありません。見つからない語は今後補っていきます
  • カテゴリの最終判断は公式ヘルプに従ってください。ツールはあくまで、そこへの到達を助けるものです

おわりに

カテゴリ探しで手が止まる場面、既に商品カテゴリ属性に指定されている ID から元のカテゴリを確かめたい場面で、気軽に開いてもらえたら嬉しいです。「この語でヒットしなかった」という報告は、そのまま別名の改善につながるので、ぜひお寄せください。

Yuwai Labs には、GMC向けの商品タイトルを組み立てて検証できる商品タイトルビルダーもあります。あわせてどうぞ。