サービス導入事例:インフォコム株式会社さま

デジタルマーケティング支援サービスの導入事例

インフォコム株式会社さま

全社の底上げと、現場の専門性。両輪で進めるマーケティング組織改革

インフォコム株式会社さまは、医療・企業・公共機関向けにシステム構築やパッケージ製品を提供するITサービスと、一般消費者向けに電子コミック配信サービスを提供するネットビジネスを展開されています。

Yuwai株式会社は、2024年秋にデジタルマーケティングの支援サービスとして、デジタルマーケティングに関する社内研修(全5回)を提供しました。

デジタルマーケティングに関する社内の課題感、社内研修を企画するに至った経緯や研修その後の変化について、栁原さまと合原さまにお話を伺いました。

インフォコム株式会社
ヘルスケアイノベーション事業本部
新規事業推進部
介護IT営業グループ
栁原 良子 さま(写真:左)

インフォコム株式会社
人事部 人財開発チーム
副課長
合原 博 さま(写真:右)

インフォコム株式会社コーポレートサイト(https://www.infocom.co.jp/ja/index.html)

インタビュアー
Yuwai株式会社
田中 広樹

※インタビューは2024年12月に行われました

幅広い事業領域で展開するインフォコムのサービス

田中:本日はお時間いただき、ありがとうございます。まずは御社の事業内容について教えていただけますか?

合原:インフォコム株式会社はグループ会社を含めると、当社では大きく5つの事業領域でサービスを展開しています。事業として一番大きいのはグループ会社のアムタスで、「めちゃコミック」という電子コミックの配信サービスをしています。残りの4つはITサービスセグメントと呼んでいるのですが、一つは大企業向けのSI、もう一つが病院医療機関向けの製品サービスの販売、それから医療機関と近しい介護・福祉向けのサービス、そして一般企業官公庁向けのBtoBサービスを提供しています。会社の規模の割には、かなり幅広く事業を手がけているのが当社の特徴です。

田中:多岐にわたる事業を展開されているのですね。

人材育成とマーケティング、それぞれの立場から見える課題

田中:その中でお二方はどのような役割を担われているのでしょうか?

合原:私は人事部で教育研修を担当しています。主に新入社員研修の企画運営や、ビジネス系・技術系人材のための研修を提供しています。また、社員の能力開発制度の運営や見直しなども担当しています。

ただ、マーケティングに関しては課題を感じていました。社員が主体的に自分のキャリアを築いていけるよう支援する仕組みは整えているのですが、特にデジタルマーケティングについては、体系的な育成ができていない状況が続いていたんです。

栁原:私はヘルスケアイノベーション事業本部の新規事業推進部で、主に介護領域における新規事業立ち上げのマーケティングを担当しています。

2019年の入社以来、社内の各事業部が保有するマーケティングの知見が共有されていない状況に課題を感じていました。そこで、知見や情報を共有できる環境を作りたいと思い、事業部を横断したコミュニティを作るなど、現在は全社的なマーケティング力の強化を進める活動も積極的に行っています。

インフォコム株式会社 ヘルスケアイノベーション事業本部 栁原さま

組織の分断がもたらすマーケティングの課題

田中:栁原さんが部門を超えて活動されているというのが面白いですね。どのような課題感からその活動を始められたのでしょうか?

栁原:元々インフォコムにはマーケティングの専門部署がなかったので、各事業部で個別にプロモーションやオフラインの施策を行っていました。専門職がいないというのもありますが、入社当時は社内でマーケティングについて相談できる人もおらず、孤独な状況でした。

そのため、自身の状況からもきっと各事業部の担当者も同じような状況ではないかと思いましたし、各事業部のマーケティングのノウハウを共有したり相談したりできる環境があれば、もっと成果が出せるのではないかと感じていたので、まずはそんな状況を変えたいという想いが強かったんです。

特に医療機関向けのビジネスでは、コロナ禍で従来の対面営業が制限され、デジタルシフトの必要性が高まっていました。でも、具体的にどう進めればいいのか分からないという声が多かったんです。

田中:その課題を解決するため、自ら動き出したわけですね。本業と並行しての活動は大変ではないですか?

栁原:大変な面もありますが、このままではいけないという思いが強くて。まず社内でできるところからやってみようと思ったんです。各部門を回っていくと「デジタルマーケティング困ってるんだよね」という声をよく聞きました。これは何とかしなければと。

「社会人のたしなみ」から実践的なデジタルマーケティングへ

田中:研修を実施することになったきっかけについて、お二方それぞれの立場からお聞かせいただけますか?

合原:2019年に人事部に異動してきた際、様々な教育施策がある中で、マーケティングの研修は当初ありませんでした。ただ、当時のCHOが「マーケティングは社会人のたしなみ」とコメントしていたことをヒントに、2020年からマーケティングの研修を企画しました。

最初は古典的なマーケティングの研修を若手社員向けに提供したのですが、学んで終わってしまう印象が強く、また当社には実践的なデジタルマーケティングの知識が必要ではないかという声もありました。この課題は分かっていながら、なかなか良い講師が見つからず、まさに喉に刺さった魚の小骨のような状態が続いていたんです。やらなければいけないと分かっているけれど、なかなか前に進めない。そんな状況が続いていました。

田中:その「小骨」が抜けるきっかけは何だったのでしょうか?

栁原:私の方でも、社内でデジタルマーケティングについて困っているという声をよく聞いていました。ある時、今回講師をお願いした田中さんと話をする機会があり、デジタルマーケティング研修を企業向けにも提供しているとの話が出たんです。これは絶好の機会だと思い、すぐに合原さんに相談しました。

田中:あれは栁原さん含め友人仲間で焼肉を食べていた時の話でしたね(笑)

予想を超える反響、73名が参加し管理職も4分の1

田中:実際の研修の参加状況はいかがでしたか?

合原:予想以上の反響がありました。全部で73名の申し込みがあり、アムタスからの参加が一番多かったですね。次に多かったのが意外にも医療機関向けのサービスや製品を提供・販売するヘルスケアソリューション事業本部でした。

特徴的だったのは、管理職が18名も参加していたことです。スタッフ部門(経営管理室や人事、総務などの部門)の管理職が多かったのも意外でした。この数字からも、社内全体でデジタルマーケティングへの課題感が共有されていたことが分かります。

田中:管理職が4分の1を占めるというのは興味深いですね。特にスタッフ部門の管理職が多かったというのは、実は納得できる部分があります。私の前職でもよく「バックオフィスこそマーケティング思考が必要だ」と言われていました。社内の取りまとめをするためには、結局同じような考え方が求められるんですよね。

インフォコム株式会社 人事部 合原さま

「スライドのキャプチャ職人」「動画の録画職人」にならない工夫で継続的な参加を実現

栁原:参加者からは、直接「良かった」と声をかけていただくことも多かったです。特に事例の出し方がわかりやすくて、自分事として捉えることができたという声が多かったですね。また、実務に沿った内容だったので実践に転化しやすいという評価を若手社員からいただきました。

田中:実は研修では毎回、「スライドのキャプチャ職人にならなくていいですよ」「資料は全部出しますし、ここで話したことは明日の朝には忘れているでしょう」と必ず伝えていました。研修に参加できない回があっても置いて行かれない、という安心感を持ってもらいたかったという狙いがあって。

研修の最初にスライドを用いて「受講の心得」をお伝えしていました

合原アンケートの結果を見て一番特徴的だったのは、「わかりやすい」という評価の多さでした。私がこれまで担当してきた研修の中で、これほどまでに「わかりやすい」というコメントが寄せられたことはないというぐらい、際立った評価でした。

また、録画視聴が可能という点も高く評価されていましたね。その場で聞いても翌朝には忘れてしまうことがあるので、「復習できることが良かった」という意見が多かったです。毎週1時間を5週に分けて実施したことも、業務との両立がしやすかったという声が多く聞かれました。

田中:ええ、実際に参加状況を見ていても面白い傾向がありました。一般的な研修だと、1回目が一番多くて、どんどん参加者が減っていくものなんですが、今回は5回目まで50名前後で安定していて、どこかの実施回で極端に参加率が下がるということもなく、まんべんなく参加していただけました。

次のステップを学びたい―研修後の変化

栁原研修後は次のステップを学びたいという声をよく聞くようになりました。以前は思っていても誰に聞いたらいいかわからない、YouTubeで調べるしかないという状況でしたが、今は社内で相談できる先が見つかったという実感があるようです。

それに、今まではデジタルマーケティングというと「専門家がやるもの」という印象が強かったのですが、研修をきっかけに「自分たちでもできるかもしれない」という意識の変化が生まれてきています。

合原:そうですね。当社では研修終了後、毎回同じようなアンケートをとっているのですが、「もっと勉強したくなった」というコメントはこれまでほとんどありませんでした。今回はそういった声が多く寄せられ、私も目を引きましたね。研修をきっかけに、自主的な学びへの意欲が高まったことが感じられます。

田中:栁原さんご自身が、まさに社内マーケターとして活動されていますよね(笑)。本業と並行して他部署のマーケティングの面倒を見るのは大変だと思うのですが、変化は感じられますか?

栁原:はい。以前は「マーケティングって何をすればいいの?」という漠然とした相談が多かったのですが、今は「このセグメントに対してこういうアプローチをしたいんだけど」といった具体的な相談が増えてきています。一歩ずつですが、確実に変化は起きていると感じています。

ITサービス成長に向けた全社的なマーケティング強化へ

田中:最後に、今後の展望についてもお聞かせください。

合原:インフォコムグループ全体では売上が伸びているのですが、ITサービスセグメントは過去10年間横ばいでした。今年、親会社が変わり、このセグメントも売上を伸ばしていく方向性が出ています。

そのためには、全社的なマーケティング力の強化が不可欠です。今回の研修は、その第一歩だったと考えています。今後は段階的なスキル開発の機会を提供しながら、現場のニーズにもしっかり応えていける体制を整えていきたいと思います。あの「小骨」が抜けたことで、ようやく前に進めるようになりました。

栁原:私はまず、デジタルマーケティングに興味を持つ人を増やしていきたいですね。管理職に知ってもらえたことで、現場からの提案も通りやすくなりました。また、デジタルマーケティングを運用できる人材を内製していきたいと考えています。

特に医療機関向けビジネスでは、コロナ禍でオンラインシフトが進み、医師の世代も若くなってきています。デジタルチャネルでのコミュニケーションニーズが高まっているので、そういった変化にも対応していく必要があります。

田中:素晴らしい展望ですね。御社の変革期に、人事部門からの全社的なアプローチと、現場からの専門性の深化という両輪で、会社全体のマーケティング力が高まっていくことが期待できそうです。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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